姫路・西はりま 地場産業紹介

にかわ・ゼラチン

にかわ・ゼラチンの歴史

にかわ・ゼラチンの起源は
古代エジプト

にかわ・ゼラチンの歴史は古く、古代エジプトのにかわ製造が起源というのが定説です。
当初は主に接着剤として使われ、化学接着剤が発明されるまで様々な分野で活用されてきました。
ピラミッドから出土した棺、調度品、美術工芸品などを見ても随所に使用され、いかに人々の暮らしに浸透していたかがわかります。
また、にかわの製造風景を描いた壁画なども残っており、古代人にとって大切なものだったことが想像されます。

工業化から食用へ
画期的に進化した18世紀

1700年頃になると、ヨーロッパ各国で工業的な生産が開始され、1800年代には食用のゼラチンも生産されるようになっていました。
19世紀後半には、写真乳剤にもゼラチンが応用され、さらなる発展を遂げていきます。食用、医薬用品用、写真用、工業用と、その活用の場は飛躍的に広がっていきました。

日本での起源は墨の材料

日本では、墨の材料としてにかわを用いたことが「日本書紀」に記されていますが、食用としては、長く寒天が用いられてきたという歴史があります。ゼラチン産業が本格的な発展を遂げるのは、大正時代になってからだと言えます。
今や、世界のゼラチン消費量からみても、その国内消費量は大きなウェイトを占めるまでとなり、これからも食品、医療、文化など、あらゆる方面で我々の暮らしを支えていくことでしょう。

西播磨のにかわ・
ゼラチン産業

日本最大の皮革産地で産まれた産業

にかわはマッチにも使用

明治初期、日本最大の皮革産地である姫路・龍野周辺では、皮革屑などを利用して何か製造できないかと考え、にかわ製造をスタートさせました。姫路の網干地域は、明治30年代後半から大規模産地として名を馳せ、明治40年頃から大正時代には、余部、飾磨、御着などにも産地が拡大していきました。その後、昭和30年代に隆盛のピークを迎え、企業数は実に70社以上にまで増大しました。こうして、農家の副業的な存在であった当地域のにかわ産業は、日本有数の産地として数えられるまでに成長していきました。

にかわはマッチにも使用されていたため、マッチ業界の衰退による需要の減少から企業数が集約されるなど、幾たびの変遷はありましたが、現在でも全国のにかわ生産量の100%、ゼラチン生産量の20%、コラーゲンペプチド生産量の50%を占め、海外への輸出も盛んに行われています。業界では、従来の網干膠皮革産業連合組合から協同組合へと組織を一新し、平成7年12月に「西姫路にかわ皮革産業協同組合」として、新たなスタートを切りました。

にかわ・ゼラチンとは

にかわ・ゼラチンとは?

にかわ・ゼラチンとは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したものです。
日本では、主に食用や医薬用に使われる純度の高いものを「ゼラチン」、画材など工業用に使われる精製度の低いものを「にかわ」と称しています。

美容・健康に効果的なゼラチン

健康番組などでよく取り上げられるコラーゲンと同じく、そこから精製・抽出されるゼラチンも、食品として考えるとほぼ同じものです。つまり、ゼラチンについても、美容にも健康にも大変効果的な食材といえます。

暮らしに身近なゼラチン

煮魚が冷えて、煮汁がゼリーのように固まっているのを目にすることがあるかと思います。これは、魚のコラーゲンが加熱によってゼラチンになり、煮汁に溶け出して固まってものです。また、すじ肉の煮込みなどでも同じことがありますが、このようにゼラチンは、私たちの日常生活に非常に身近なものであることがわかります。

見逃せないゼラチンの4つの特徴

ゼラチンの主成分は、コラーゲン由来のタンパク質が全体の約86%、水分が約12%で、以下、灰分の順となります。

豊富なアミノ酸

にかわ・ゼラチンとは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加えて抽出したものです。
日本では、主に食用や医薬用に使われる純度の高いものを「ゼラチン」、画材など工業用に使われる精製度の低いものを「にかわ」と称しています。

容易なゾル化とゲル化

健康番組などでよく取り上げられるコラーゲンと同じく、そこから精製・抽出されるゼラチンも、食品として考えるとほぼ同じものです。つまり、ゼラチンについても、美容にも健康にも大変効果的な食材といえます。

皮膜

ゼラチンの溶液を乾燥させると、皮膜ができます。この皮膜はとても強く、内容物の酸化・吸湿を防止する働きがあります。

起泡性

ゼラチンの溶液は起泡性が強く、安定した泡が持続できます。この性質を生かして、マシュマロやババロアなど、ふわふわのお菓子作りに活用されています。

ゼラチンができるまで

最初に、原料に混じった不純物を除去し、その後にゼラチンを抽出・精製します。
もちろん、一つ一つの工程は徹底した衛生管理のもとでシステム化され、純度の高いゼラチンを製造しています。
原料を「アルカリ」または「酸」のどちらで前処理するかによって製造方法は異なりますが、抽出以降の工程は同様です。

1原料
ゼラチン原料は、牛皮、豚皮、牛の骨を処理したオセイン、魚皮、ウロコ、鶏などです
2原料処理
一般的に、アルカリ処理・酸処理を行いますが、原料や目的とする製品によって、処理は変わります
3抽出
所定の処理が終了した原料を、熱水で抽出します。抽出温度、時間、PHを変えることで、色々な品質のゼラチンができます
4精製
抽出されたゼラチンは、純度を高めるために、イオン交換処理などの精製が行われます
5濃縮
精製されたゼラチンは、真空状態で濃縮されて濃度が高くなります
6殺菌・乾燥
濃縮液は、加熱プレートや蒸気によって、高温・短時間殺菌されます。殺菌された液を、冷却してヌードル状、あるいはサイコロ状に乾燥させます

用途について

食用としての用途

スイーツだけでなく、介護食やヘルシーライフに欠かせないアイテム

ゼリー

コラーゲンが、高血圧の防止や骨粗鬆症の軽減、関節炎の治癒などに効果的というのはよく知られたことですが、このコラーゲンから抽出されるゼラチンにも同様の効果が期待できます。
さらに、加齢による肌の弛みやシワの予防、潤いのある髪づくり、エネルギー代謝力のアップによるダイエット効果、血流改善による肩こりや冷え性の解消など、様々な健康・美容効果が確かめられています。

また、どんな食材とあわせても味への影響がほとんどないことや、口内でさらりと溶けることにより、ゼリーやプリンなどのスイーツや、のど越しの良いたんぱく補給として、介護食にも大変重宝されています。

食用ゼラチンの代表的な用途
ゼリー / プリン / ババロア / ケーキ用のクリーム / シャーベット / アイスクリーム / マシュマロ / フローレット / ヨーグルト / 米菓子 / ハム / ソーセージ / 餃子 / 小龍包 / 冷凍食品 / レンジアップ惣菜 / 介護食 / たれ / ワイン(の清澄剤)、ほか

医薬用としての用途

医薬品・健康食品のカプセル基材や、化粧品にも使用

カプセル

動物性タンパク質ながら、消化吸収されやすく人体に無害という特長から、薬品を服用するためのカプセルの基材として広く用いられています。胃で溶けずに腸で効く薬など、ゼラチンの性質とバイオテクノロジー技術が生んだ高度な製品も、次々と誕生しました。

また、コラーゲン入り化粧品にも使用されるなど、ゼラチンは私たちの暮らしにますます身近なものとなっています。

食用ゼラチンの代表的な用途
ハードカプセル / ソフトカプセル / 錠剤 / 丸剤 / トローチ剤 / 座薬 / 代用血漿 / ゼラチンスポンジ / 化粧水 / 乳液 / 美容液 / 口紅 / シャンプー / リンス、ほか

工業用としての用途

ボンドよりも強固な接着剤にもなるすぐれた工業用材

フィルム

にかわは、ピラミッドから出土した棺、調度品、美術工芸品などにも使われていましたが、木面を接着するには木工ボンドよりも強固であり、熱や湿り気を加えると簡単に剥がすことができるので、今でも楽器の接着や修理などに広く使われています。さらに、温湿度の変化によって生じる木材の伸縮などにも順応し、良質の音を伝達できることから、理想的な接着剤として大切にされてきました。

にかわは、他にも墨、人工皮革、マッチとして、古くから私たちの暮らしを支えてきました。
また、和膠の復元により、平等院や日光東照宮、京都御所等、全国の文化財の修復に使用されています。

フィルムや印画紙の「写真乳剤」も、にかわからできています。にかわを溶かして臭化カリウムの溶液を加え、さらに暗室内で硝酸銀の溶液を加えて撹拌すると、乳白色の液ができます。これをフィルムベースやバライタ紙に塗布して乾燥させると、感光写真やフィルムの印画紙となります。はじめてにかわを基材とする写真乳剤が作られたのは19世紀で、それから今日に至る百数十年近くの間、写真産業の隆盛を支えてきました。

工業用にかわの代表的な用途
接着剤 / 楽器用接着剤 / 墨 / フィルム / 食品模型 / ビニール系ポリマー / 印画紙 / 生コンクリート / 人工皮革 / 塗料 / 非鉄金属の電気製錬 / マイクロカプセル / サンドペーパー / ゼラチンフィルム / 雪の断熱材 / マッチ、ほか

注目のコラーゲン

コラーゲンとは?

人間をはじめとする動物の体の中に最も多く含まれているタンパク質・コラーゲンは、体内のタンパク質の実に20~40%を占めています。うち40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に含まれ、その他は血管や内臓など広く全身に分布しています。その働きも多彩で、骨、軟骨、腱など、結合組織の主要な構成成分として体や臓器を支えるだけでなく、細胞同士をくっつける接着剤のような役割もしています。また、このような物理的な機能のほかにも、細胞の増殖や器官の形成、傷口の治癒促進など、生体活動にもコラーゲンが大きな影響を与えることが解明されています。

加齢によるコラーゲンの減少

加齢によるコラーゲンの減少

人の体内では、常にコラーゲンの分解と生成が繰り返されていますが、加齢によってこのバランスが徐々に崩れていきます。皮膚にシミやシワができたり、関節が痛んだりするのも、コラーゲンの減少によるものです。老化防止にはコラーゲンの補給が大きなポイント

こんなところにもコラーゲンが

コラーゲンをミクロの目で見ると、3本の細長い分子がらせん状により合わさっています。この分子は水に溶けませんが、長時間加熱することで、水溶性に変化します。その時に液中に抽出されるのが、ゼラチンです。この現象は、案外身近に見られるものでもあります。例えば、コラーゲンたっぷりのすじ肉の煮込みや煮魚を作った際、冷めるとゼラチンが固まってゼリー状になっていることがあるかと思いますが、これは、「コラーゲンを含む食品を食べる=ゼラチンを摂取する」ということを、わかりやすく示しています。

コラーゲンを食べて元気に美しく

煮こごり

煮魚が冷えて、煮汁がゼリーのように固まっているのを目にすることがあるかと思います。これは、魚のコラーゲンが加熱によってゼラチンになり、煮汁に溶け出して固まってものです。また、すじ肉の煮込みなどでも同じことがありますが、このようにゼラチンは、私たちの日常生活に非常に身近なものであることがわかります。

Q&A

意外と知らない?ゼラチン・コラーゲン

コラーゲンの働きとは?
骨を強くしたり、潤いのある肌にしたり、高血圧を防いだりと、健康で若々しい体づくりに役立ちます。コラーゲンの主な仕事は、関節痛を和らげることや骨を強くしなやかに保つこと、また肌にハリと潤いをもたらすことや、消化器官の保護、血圧上昇の抑制などがあります。最近では、スポーツ分野において、ケガの予防や治療促進に役立てる研究が進められるなど、社会の高齢化や健康志向のブームとも相まって、コラーゲンに大きな関心が集まっています。
ゼラチンとコラーゲンの違いは?
分子レベルで違いがあるだけで、食品という枠組みでは同じものといえます。コラーゲンは、3本の細長い分子がらせん状により合わさって、三つ編みのような形状になっています。これに熱を加えると、3本の分子がバラバラの状態になります。これが、ゼラチンです。コラーゲンとゼラチンでは分子レベルに違いがあるものの、食品としては同じものと考えて差し支えありません。ゼラチンの約87%がコラーゲンであり、まさにコラーゲンの塊ともいうべき優れものです。
ゼラチンの栄養とは?
ゼラチンには様々な栄養が含まれており、その高い栄養価と消化吸収の良さから、離乳食にもおススメです。ゼラチンの約87%がコラーゲンであるほか、水分が約10%で、他にも微量のカルシウム、リン、鉄分が含まれています。中でも、タンパク質は18種のアミノ酸で構成され、トリプトファン以外の必須アミノ酸を全て含み、特に子供の成長に欠かせないリジンを多く含有しているもの特筆すべき点です。また、栄養価に優れている一方で消化吸収も良く、一緒に摂取した食物の消化を助けるなどの働きがあります。離乳食や幼児食におススメできるのはもちろん、胃腸が弱っている時にも最適です。
ゼリーにゼラチンを使うのは何故?
温度変化によって容易にゾル化・ゲル化するという、ゼラチン最大の特性によるものです。ゼラチンの基本構造をみると、約1,000個のアミノ酸が細長い状態に並んでいます。ゼラチンを熱い液体の中で溶かすと、網目状の構造が壊れて分子が自由に液体の中を動くようになります(ゾル化)。反対に液体の温度を下げると、分子同士が引き合って弾力性のある網目の構造を作ります(ゲル化)。熱すると溶けて液体に、冷やすと固まってゼリーにと、温度によって何度も変化するのが、ゼラチン最大の特性です。冷たいゼリーが口の中でツルっと溶けるのは、これによるものです。
寒天とゼラチンはどう違う?
寒天は植物性で、ゼラチンは動物性のタンパク質からできています。寒天は植物性のものでノンカロリーであり、栄養はありません。比べて、ゼラチンは動物性であり、タンパク質などの栄養が豊富で、カロリーもあります。また、その性質を比べると、寒天は常温では溶けませんが、ゼラチンは溶けてしまいます。そのため、口どけが良く、離乳食や介護食にも積極的に用いられています。寒天で作られたゼリーに少し歯応えを感じるのは、この違いによるものです。
コラーゲンを食べると骨が丈夫になるのは何故?
コラーゲンは、骨にカルシウムを付けるための足場のようなものです。コラーゲンが先に作られなければ、カルシウムが骨に付くことができず、丈夫な骨になりません。カルシウムの硬けれども脆い性質を、柔軟なコラーゲンが補っているのです。
コラーゲンと美肌の関係は?
肌のタンパク質の70%はコラーゲンです。皮膚では表皮の下の真皮に存在するコラーゲンですが、これから作られるコラーゲンペプチドが、肌のコラーゲン生成に役立っていることがわかってきました。
美容や健康に効果的なコラーゲンの摂取量は?
1日5~10gの摂取を目安にしましょう。例えば、体重50kgの人の場合では、約3kg(約6%)がコラーゲンです。これが毎日の新陳代謝で生まれ変わっていることを考えると、1日5~10gを補うのが理想的です。

お問い合わせ窓口

各種お問い合わせ先一覧-西播磨地域のにかわ・ゼラチン産業等について

連絡先団体名:公益財団法人 姫路・西はりま地場産業センター
所在地:〒670-0962 兵庫県姫路市南駅前町123番(JR姫路駅南口より西に徒歩1分)
TEL:079-289-2832 FAX:079-289-2834
E-mail:info@jibasan.or.jp 
URL:http://www.jibasan.or.jp